ムチウチ症の交通事故における後遺障害認定に際しては、症状の立証のために様々な検査を受ける必要があります。
腰部のムチウチ症状を立証するための神経学的テストとしては、FNSテスト、ラセーグテスト、SLRテスト、下肢腱反射テスト、徒手筋力検査、下肢筋萎縮検査などのテストがあります。
FNSテスト

FNSテストは椎間板のなかのL2からL4のあいだに起きているヘルニアをチェックします。
患者がうつ伏せに寝た状態で、手で臀部を固定し、膝を90度曲げてもらいます。
その状態から、大腿を持ち上げながら股関節を伸ばしていきます。
大腿前面に痛みを感じたり、上位腰髄神経根を圧迫する症状が見られると、陽性と判断されます。
ラセーグテスト

ラセーグ・テストは、L4/5やL5/S1での腰椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫を確認します。
患者が仰向けに寝た状態で、脚の股関節と膝を曲げて上に挙げます。そして膝を伸ばしていき、その過程で痛みが生じると陽性と判断されます。
SLRテスト
SLRテストはラセーグテストと同じく、L4/5やL5/S1での腰椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫を確認することができます
患者が仰向けに寝た状態で、膝を曲げずに伸ばしたままで脚を徐々に挙げていきます。脚の裏側に痛みが生じ70度以上挙げられない場合は陽性と判断されます。
下肢腱反射テスト
深部腱反射テストとは、打腱器で健を叩き、その反射をみるテストです。
運動系の障害や末梢神経の障害の有無を判断するために有用なテストです。
「反射の亢進」と「反射の低下」という異常があります。
自賠責の後遺障害の認定において、腱反射は被験者の意思が介在しないため、重要な他覚所見といわれています。
ただし、腱反射テストは、検査者による個人差がみられる場合もあります。左右差の差があるか否かも重要です。
検査の結果は、亢進(+++)軽度亢進(++)正常(+)低下(±)消失(-) 等と表示されます。
徒手筋力検査
脚の各部位を手で押さえ、その力に打ち勝って脚の位置を保持できるかで筋力を検査します。
筋萎縮検査
下肢の麻痺が続くと、筋肉がやせ細り、細くなっていくことがあります。これが筋萎縮の症状です。
筋萎縮検査は、両足の膝から上下10cmのところの太腿、下腿の周径を図り、左右の周径を比較して、差があるか否かを検査します。
筋萎縮は、被検者の意思が介在しないため、信用性が高い他覚所見と考えられております。
14級9号の後遺障害では、筋萎縮が明確に認めらない場合もあります。
しかし、12級13号のレベルになると、筋萎縮があることも後遺障害認定の重要な要素となります。
したがって、MRIなどで神経根の圧迫が認められ、12級13号の認定の可能性がある場合には、筋萎縮検査を行い、後遺障害診断書に筋萎縮テストの結果を記載してもらうことが重要です。