交通事故の賠償金が分割払いになるケース - 福岡の交通事故弁護士

交通事故の賠償金が分割払いになるケース

交通事故の賠償金が分割払いになるケース

交通事故に遭ったら加害者に損害賠償請求を行い、賠償金を支払ってもらう必要があります。 ところが相手が任意保険に入っていない場合には、賠償金が、「分割払い」になってしまうケースがあります。 分割払いになると、途中で支払いが止まる可能性があるので、最後まで回収するためには慎重な対応が必要です   今回は、交通事故の賠償金が分割払いになるケースと注意点を、弁護士が解説します。  

1.賠償金が分割払いになるケースとは

交通事故の賠償金は、本来であれば一括払いが原則です。 損害賠償金は、交通事故発生時から支払い遅滞になると考えられているので、裁判をすると交通事故時からの遅延損害金も請求できます しかし、現実には分割払いになるケースがあります。 交通事故の加害者が任意保険に入っておらず、本人が自分で支払う場合です。   加害者が任意保険に入っていたら、保険会社が賠償金を支払います。保険会社には充分な資力があるので決まった賠償金は一括払いされます。 しかし、加害者が任意保険に入っていなかったら、本人が自分で賠償金を支払わねばなりません。加害者には資力がないことも多いので、分割払いするしかなくなるのです。   また、交通事故で被害者に重い後遺障害が残ったり死亡したりすると、数千万円、1億円という高額な賠償金が発生します。そのようなお金を一括払いできる人は少ないでしょう。   相手に資力がない場合、強硬に一括払いを求めても、取り立てができません。裁判で一括払いの判決がでても、相手に財産がなかったら差押えができず、判決が「絵に描いた餅」になってしまいます。   そこで、分割払いでも良いので、きちんと支払ってもらう方が被害者にとっても利益になります。   このようなことから、事故の相手が任意保険に入っていない場合、加害者に充分な資力がなかったら、示談によって賠償金を分割払いにするケースがあります。  

2.賠償金を分割払いにするリスク

しかし賠償金を分割払いにすると、途中で支払いが止まってしまうリスクが高くなります。 特に5年や10年などの長期分割払いになると、最後まで支払われる可能性は相当低くなるでしょう。 加害者が途中で行方不明、音信不通になるケースもあります。 そこで、賠償金の取り決めをするとき、やむを得ず分割払いにするとしても、できるだけ短期間にする方が有利です。  

3.賠償金を最後まで払わせるための工夫

3-1.公正証書にする

加害者に交通事故の賠償金をきちんと最後まで支払わせるための工夫としては、示談書を「公正証書」にしておく方法が有効です。 公正証書とは、公務員である公証人が、公文書として作成する書類です。 原本が公証役場で補完されるので紛失のおそれがありませんし、公証人が定められた適式な方法で作成するので信用性が高い文書です。 示談書を公正証書にするときには、「強制執行認諾条項」をつけることができます。 強制執行認諾条項をつけておくと、相手が支払いを止めたとき、すぐに財産や給料などを差し押さえできます。 相手もそのことをわかっているので、遅延しないように支払いをしようと努力します。 また、実際に滞納されたらすぐに差押えをして賠償金を回収できます。 このように、公正証書にしておけば、相手が遅延しにくく、遅延した場合に回収しやすいのでメリットが大きいです。  

3-2.期限の利益喪失条項を入れる

賠償金を分割払いにするときには「期限の利益喪失条項」を入れましょう。 「期限の利益喪失条項」とは、相手の滞納金額が一定以上になったときに、残金を一括払いしなければならないという条項です。 これが入っていないと、加害者が滞納したときに、支払期限が到来している分しか請求できません。差押えもその分しかできないので、効率的に回収できないのです。 期限の利益喪失条項が入っていたら、相手が滞納したときに、そのときの残代金の全額分の差押えができます。  

4.支払いが止まった場合の対処方法

分割払いの約束をした後、加害者が支払いを止めてしまったら、裁判所に強制執行の申立をして、相手の預貯金や給料などを差し押さえる必要があります。 そのためには、事前に加害者の資産内容や勤務先などを調べて把握しておかねばなりません。 被害者が自分で強制執行の手続きすることも可能ですが、弁護士に依頼した方がスムーズです。   アジア総合法律事務所では、交通事故の加害者が任意保険に入っていない事案にも対応しております。福岡、九州を中心に、全国で交通事故被害に遭われた方は、是非とも一度、ご相談下さい。
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