交通事故で成年後見人制度が必要になる場合とは? - 福岡の交通事故弁護士

交通事故で成年後見人制度が必要になる場合とは?

交通事故で成年後見人制度が必要になる場合とは?

交通事故に遭ったとき、被害者が重度の意識障害になったり判断能力が低下したりして、自分では賠償金の請求手続を進められなくなるケースがあります。 そのようなとき、誰が示談交渉などの賠償手続きを進めていけば良いのでしょうか? 「親族が本人の代わりに示談交渉をしてもいいのか?」 と疑問に思われる方も多いです。 今回は、交通事故で「成年後見制度」を利用して損害賠償請求の手続きをすべき場合について、解説します。

1.成年後見制度とは

そもそも成年後見制度とは何なのでしょうか? 成年後見制度とは、判断能力が低下するなどの理由で、自分では適切に財産管理や身の回りのことができなくなった人のために、第3者が代わって財産管理や身上監護を行う制度です。 典型的なのは、高齢で認知症にかかった方に成年後見人がつく場合です。認知症になると、自分でもどのような財産があるのかわからなくなりますし、適正に管理できなくなってだまし取られたりすることも多く、自分の介護のために適切にお金を使うことなどもできなくなるので、成年後見人が必要になります。 成年後見人は、あらゆる法律行為について、本人の代理権と取消権を持ちます。

2.交通事故で成年後見人が必要なケース

交通事故でも、成年後見人の選任が必要になるケースがあります。それは、遷延性意識障害になった場合や重症の高次脳機能障害になった場合などです。以下では、それぞれについてご説明します。

遷延性意識障害の場合

遷延性意識障害とは、いわゆる植物状態のことです。交通事故で脳を損傷すると、意識を喪失してそのまま目覚めなくなってしまうことがあります。 具体的には、以下のような状態が3か月続いたら遷延性意識障害と認定されます。
  • 自力移動ができない
  • 自力で食事をとることができない
  • 尿失禁状態
  • 声を出すことはあっても意味のある発語ができない
  • 簡単な命令に応じることはあっても、意思疎通はできない
  • 目でものを追うことはあっても、認識はできない
遷延性意識障害になると、自分では事故の相手と示談交渉を進めることはできません。かといって、本人が成人している場合には、親が代理人となることもできません。交通事故で本人に意識がない場合でも、配偶者やその他の親族には法律上の代理権がなく、代わりに損害賠償請求をできないのです。そこで、遷延性意識障害の場合には、成年後見人を選任して示談交渉を進める必要があります成年後見人は、示談交渉だけではなく自賠責保険や被害者の保険会社に対する保険金請求や訴訟などの手続きも行えます。

高次脳機能障害の場合

高次脳機能障害とは、脳の認知障害です。記憶障害、注意力の障害、社会に適応しにくくなる障害、遂行能力の障害など、さまざまな障害が起こります。たとえば物事を覚えられなくなったり、1つのことを集中してできなくなったり、感情の起伏が激しくなったり暴力的になったりすることがよくあります。同じ脳の認知障害である認知症ととてもよく似た症状です。 高次脳機能障害にはさまざまな程度がありますが、重度になると、自分では日常生活に必要なことがまったくできなくなります。食事や歯磨き、着替えなどもできないので、全面的な介護が必要となります。 そのような状態になったら、当然自分では示談交渉を進められません。かといって親族が代わりに手続きをすることもできないので、やはり成年後見制度を適用して、成年後見人を選任しなければならないのです。

被害者が子どもの場合

以上に対し、被害者が子ども(未成年者)の場合には、成年後見人を選任する必要はありません。この場合、親権者である親が「法定代理人」として相手と示談交渉を進めることができるからです。未成年に親がいない場合には、未成年後見人を選任する必要があり、未成年後見人が本人に代わって示談交渉を進めます。 交通事故で本人が重度の後遺障害を負った場合、成年後見人の選任が必要になることがあり、誰を候補者に立てるかなどで迷われる親族の方も多くおられます。アジア総合法律事務所では、福岡、九州を中心に全国から交通事故被害者様や親族様からのご相談をお受けしておりますので、お困りの際には是非とも一度、ご相談下さい。
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