後退車による交通事故

後退(バック)している自動車と歩行者との交通事故です。
後退については、歩行者等の正常な通行を妨害するおそれのある場合や、道路標識等によって規制されることはありますが、後退の方法については特に規定がありません。
ここでは、自動車側の見通しが十分でなく、速度も徐行やそれに近い速度であることが前提となっています。
なお、歩道や路側帯上で事故が発生した場合は「歩車道の区別のある道路での交通事故」の「歩行者が歩道等を通行している場合」が適用されます。
直後横断の場合
バックする自動車のすぐ後ろを、注意することなく歩行者が横切った場合です。
修正要素の警告ありとは、ブザーや音声によりバックしていることをアナウンスしている場合で、後退灯による合図は含まれません。
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歩行者の過失 |
自動車の過失 |
基本割合 |
20 |
80 |
修正要素 |
夜間 |
+5 |
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歩車道の区別のある道路の車道上 |
+5 |
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警告あり |
+10 |
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住宅街・商店街等 |
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+5 |
児童・高齢者(注1) |
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+5 |
幼児・身体障害者(注1) |
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+10 |
後退開始前に後方にいた場合 |
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車の著しい過失 |
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+10 |
車の重過失 |
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+20 |
直後横断以外の場合
修正要素の警告ありとは、ブザーや音声によりバックしていることをアナウンスしている場合で、後退灯による合図は含まれません。
また、後退開始前に後方にいた場合とは、後退開始前に車外の後方を見れば歩行者を発見できた場合です。幼児が路上で遊んでいる場合などがこれに当たります。
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歩行者の過失 |
自動車の過失 |
基本割合 |
5 |
95 |
修正要素 |
夜間 |
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歩車道の区別のある道路の車道上 |
+10 |
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警告あり |
+10 |
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住宅街・商店街等 |
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+5 |
児童・高齢者(注1) |
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+5 |
幼児・身体障害者(注1) |
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+10 |
後退開始前に後方にいた場合 |
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+10 |
車の著しい過失 |
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+10 |
車の重過失 |
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+20 |
注1…幼児は6歳未満、児童は6歳以上13歳未満、高齢者はおおむね65歳以上を指します。
過失割合は、弁護士が実況見分等の刑事記録による立証を行うことにより、有利になる可能性があります。