他人が運転する車に同乗していた場合の損害賠償の相手方 - 福岡の交通事故弁護士

他人が運転する車に同乗していた場合の損害賠償の相手方

他人が運転する車に同乗していた場合の損害賠償の相手方

交通事故に遭うのは、自分が運転していたケースに限りません。家族や友人などが運転をしていて、同乗していた場合の交通事故もありえます。このような場合、誰に損害賠償請求を行うことができるのでしょうか? 今回は、他人が運転する車に同乗していた場合の損害賠償請求の相手方について、解説します。  

1.同乗している場合の交通事故の加害者

家族や友人が運転する車に乗っていて交通事故に遭ったとき、誰が「加害者」となるのでしょうか? この場合、交通事故の相手車両の運転者が「加害者」になることは、容易に想像がつきます。ただ、同乗している場合の加害者は、事故の相手だけではありません。交通事故は、事故の相手が1人の責任によるものではなく、車に乗せてくれていた運転者と共同で引き起こされるものだからです。 そこで、同乗していた交通事故の場合、事故の相手と運転者の双方に「不法行為」が成立し、同乗者は「事故の相手方」と「自分が乗っていた車両の運転者」の両方に対して損害賠償請求をすることができます。   ただし乗っていた車の運転者に過失がない場合には、運転者に不法行為が成立しないので、損害賠償請求できません。事故の相手方のみに賠償金を求めることが可能です。 反対に、事故の相手に過失がない場合(追突事故や赤信号の信号無視のケースなど)や単独事故のケースでは、自車の運転者のみに損害賠償請求を行います。  

2.事故の相手方と運転者の関係

他人が運転する車に乗っているときに交通事故に遭った場合、事故の相手と運転者の関係はどのようなものとなるのでしょうか? どちらがどれだけの責任を負うのかが問題となります。 交通事故の相手と自車の運転者の双方が不法行為責任を負う場合、両者の関係は「共同不法行為」になります。共同不法行為の不法行為者相互の責任の性質は「不真正連帯責任」という「連帯責任」の1種です。連帯責任を負う場合、各債務者は債権者に対し、自分の負担部分を主張することができません。 そこで、被害者はそれぞれの共同不法行為者に対し、全額の損害賠償を求めることができます。 たとえば友人の車に同乗していて交通事故に遭って怪我をしたら、交通事故の相手にも友人にも全額の損害賠償請求ができることになります。どちらからどれだけの支払いを受けてもかまいません。共同不法行為者間の負担割合については、支払った後に共同不法行為者同士が話し合って決定し、過不足があったら清算します。債権者が関与する必要はありません。   ただしこの場合、請求相手が2人いるから倍額の賠償金を受け取れるという意味ではありません。支払われる賠償金は一定ですから、どちらかから支払いを受けて満額に達すると、他方に対してそれ以上の請求をすることは認められません。  

3.事故の相手と運転者のどちらに請求すべきか

事故の相手と運転車の両方に全額の請求ができるとしても、実際にはどちらかに請求を立てるケースが多いです。 特にどちらかが自動車保険に加入していたら、その自動車保険会社と示談交渉を進めていくことになるでしょう。たとえば事故の相手が対人賠償責任保険に入っていたら通常の交通事故と同様に、その保険会社から全額の賠償金の支払いを受けられます。事故の相手が無保険であれば運転者の自動車保険と示談交渉をして賠償金を受け取ることができます。   どちらも無保険の場合、相手や運転者のどちらか一方に資力があればそちらに請求することもありますし、そうでなければ双方に請求することもあります。これらの判断は、難しいため、弁護士に相談される交通事故の被害者の方が多いです。   同乗しているときに交通事故に遭うと、誰に損害賠償請求をすれば良いのかわからず迷ってしまわれる方がおられます。適切に損害賠償請求をすすめるため、お困りの際には弁護士までご相談下さい。
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