交通事故で請求できる葬儀費用について

交通事故が発生すると、被害者が死亡してしまうこともあります。その場合、加害者に葬儀費用を請求することができますが、葬儀費用は、どこまでの範囲で支払われるものなのでしょうか?
今回は、交通事故で請求できる葬儀費用について、弁護士が解説します。
1.葬儀費用として認められるもの
交通事故が起こったとき、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。
死亡事故の場合、葬儀費用は「交通事故によって発生した損害」と言えるので、被害者は加害者に葬儀費用の支払いを求めることができます。
葬儀費用として認められる費用は、以下のようなものです。
- 葬儀社の費用
- 読経代
- 戒名の費用
- お布施
- 花代や、弔問客の食事代
- 火葬の費用
一般的に、墓地や墓石代、仏壇購入費用などは認められません。
2.葬儀費用の基準
葬儀を行うときには、いろいろなバリエーションがあります。
小さい葬儀であれば数十万円で済むこともありますが、大々的に行ったら数百万円かかることもあるでしょう。
交通事故の葬儀では、どこまでの費用が認められるのでしょうか?
この点、基本としては「150万円」までの葬儀費用が認められています。
ただ、実際に支払った費用が150万円を下回る場合には、実際に支払った費用が限度となります。
3.150万円を超える葬儀費用が認められたケース
ただし、150万円を超える葬儀や法要関係の費用が認められることもあります。
たとえば裁判でも、銀行の男性が亡くなった事件では、200万円の葬儀費用が認められた事案がありますし(札幌地裁平成13年7月11日)、葬儀費用とは別途、仏壇購入費用や墓石の購入費用が認められたケースもあります(横浜地裁平成元年1月30日)。
さらに、遺体搬送費用や遺体処置費、文書料などを別途認める裁判例もたくさんあります(大阪地裁平成18年4月7日など)。
このように、葬儀費用は「一律150万円」が限度となるものでもなく、事案によって柔軟に判断してもらえるものです。
4.香典、香典返しの取扱い
葬儀の際には香典をもらい、香典返しをすることが普通です。これらの取扱いはどのようになっているのでしょうか?
香典については、損益相殺の対象になりません。つまり、香典をもらったからと言って、相手に請求できる葬儀費用から差し引かれることはありません。
また、香典返しについては損害として認められていません。
つまり、香典については、交通事故の損害賠償とは無関係なものとして取り扱われていると考えると良いでしょう。
死亡事故に遭われたら、大変な心痛を受けておられることでしょう。適切に賠償請求を進めて行くには弁護士のサポートが重要です。当事務所では、交通事故被害者様のサポートに非常に力を入れておりますので、お困りの場合にはご相談ください。