自賠責保険・共済紛争処理機構について

交通事故に遭って後遺症が残ったら「後遺障害等級認定」を受ける必要がありますが、自賠責保険に申請をしても、期待していたような結果を得られないことがあります。
その場合「自賠責保険・共済紛争処理機構」という機関を利用すると、認定等級を変更できる可能性があります。
今回は、自賠責保険・紛争処理機構とその利用方法、利用によって実現できることを福岡の弁護士がご説明します。
1.自賠責保険・共済紛争処理機構とは
自賠責保険・共済紛争処理機構とは、自賠責保険や共済の保険金支払いについてのトラブルを解決するためのADRです。
ADRとは裁判外の紛争解決手続きのことであり、たとえば交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターなどが有名です。
ただ、自賠責保険・共済紛争処理機構では、交通事故トラブルの中でも自賠責保険や共済の保険金支払いに関するトラブルのみを取り扱っています。
たとえば任意保険会社との間のトラブルや慰謝料の金額についての争いなどについて、自賠責保険・共済紛争処理機構で解決することはできません。
2.自賠責保険・紛争処理機構でできること
では、自賠責保険・共済紛争処理機構ではどのようなことができるのでしょうか?
機構では「相談」と「調停」の2種類の事業が行われているので、以下でみていきましょう。
2-1.相談
まず、自賠責保険・共済紛争処理機構では、自賠責保険や共済とのトラブルについて、無料で電話相談ができます。0120-159-700
たとえば以下のようなことについての相談が可能です。
- 保険金や共済金の支払基準について
- 賠償責任の有無や重過失減額について
- 後遺障害の認定結果について
- 調停(紛争処理)手続きについて
自賠責保険に後遺障害等級認定請求をしたけれども、非該当になったり思ったより等級が低くなったりしたときにも、紛争処理機構に相談をしてアドバイスをもらうことができます。
2-2.調停
次に、「調停」という手続きがあります。
調停とは「紛争処理」手続きのことです。一般的に「調停」というと、当事者が話合いをするイメージがありますが、自賠責保険・共済紛争処理機構の調停は話合いではなく「書面審理」です。
つまり、当事者が書面を提出し、機構が提出された書面の内容にもとづいて一定の判断を下します。当事者が機構による審査の場面に出頭することも、基本的にはありません。
3.自賠責保険・共済紛争処理機構を利用すべきケース
以下のような場合、自賠責保険・共済紛争処理機構を利用すると良いでしょう。
- 自賠責保険に保険金請求をしたけれど拒絶された
- 重過失減額されたけれども納得できない
- 後遺障害認定を申請したら非該当になった
- 後遺障害認定を申請したら、思ったより等級が低かった
- 異議申立をしたが認定結果が変わらなかった
自賠責保険・共済紛争処理機構の調停を利用できるのは1度切りです。1回申立をして結果が変わらなければ、再度申請することはできません。
また、自賠責保険・共済紛争処理機構で決定された内容(自賠責保険の支払いについての部分)は、自賠責保険や共済を拘束します。もしも調停によって後遺障害等級の認定結果が変更されたら、自賠責保険会社や共済側に不服があっても裁判に訴え出ることなどはできません。
反対に、被害者側は機構の判断を受け入れる必要がありません。
もしも機構の判断内容に不服があれば、裁判所で訴訟を起こして機構による後遺障害の認定結果を争うことができます。
自賠責保険・共済紛争処理機構を利用すると、相手の自賠責保険や共済で後遺障害認定を受けられなかった場合でも認定されたり、認定等級が上がったりする可能性があります。弁護士に依頼する方が効果的に手続きを進められるので、福岡で交通事故に遭われた方は、お気軽にご相談下さい。