後遺障害の逸失利益を計算する際の「労働能力喪失期間」はどのように数値化されますか?

交通事故によって後遺障害が残った場合の逸失利益を算定する際には、どの程度の期間にわたって労働能力が失れるか、という点を考慮することになります。
この期間を「労働能力喪失期間」と言います。
この期間の始期と終期を決めることで、交通事故による後遺障害の労働能力喪失期間を数値化します。
まず、始期についてです。通常、「症状固定日」が労働能力喪失期間の始期とされています。
もっとも、次の方の場合は異なります。
- 幼児や大学入学前の未就労者の場合は、始期を原則18歳とします。
- 大学生や高等専門学校在学中の方の場合は、その卒業時の年齢(大学生の場合は22歳が一般的です)となります。
次に終期についてです。
終期は一般的に67歳とされています。
もっとも、
・症状固定時の年齢が67歳を超える高齢者の場合は、平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とすることが多いです。
(例)被害者の男性が症状固定時に70歳、平均余命が15年とすると、15年の2分の1である7年6か月が労働能力喪失期間になります。
・後遺障害の症状がムチウチ損傷による神経症状である場合
ムチウチ症で後遺障害の等級が認定された(後遺障害等級12級13号、14級9号が認定された)場合、それぞれの労働能力喪失期間を制限して、12級の場合は10年、14級の場合は5年程度とされている例が多いといえます。
ただし、上記はあくまで原則論であって、被害者の方の職種、地位、健康状態、能力等により個別事情に応じた労働能力喪失期間が認定される場合があります。
加害者側の保険会社の計算が適正でないことが多くあります。
損害額の提示を受けた場合、示談書が送られてきた場合には、署名押印する前に、一度当事務所までご連絡ください。